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細胞外フラックスアナライザー XF Pro / XFe24

複合領域・汎用心血管領域神経科学領域腫瘍・がん研究

代謝性疾患研究における細胞代謝機能評価

健康長寿社会の発展が期待される中、加齢に伴う老化関連疾患は医学的課題とされています。糖尿病や脂質異常症、メタボリックシンドロームのような代謝性疾患、リウマチなどの自己免疫性疾患や慢性炎症に伴う骨粗しょう症、同じく慢性炎症や肥満に伴う動脈硬化、そして細胞老化・代謝低下に伴うがんといった多岐にわたる疾患とその発生の機序は相互に密接に関連していることが近年の研究で明らかになってきました。

Agilent Seahorse XFテクノロジーは細胞の代謝変化をリアルタイムに測定することで、従来のエンドポイントアッセイでは捉えられなかった様々な代謝変化を定量的に分析・理解することが可能です。糖尿病をはじめとした代謝性疾患の代謝特性評価などの研究領域において、XFテクノロジーのパワフルな測定技術によって数多くの新たな知見が見出され続けています。

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糖尿病ラットの感覚ニューロンの解糖能を計測した事例

糖尿病性神経障害の特徴は、最も長い神経線維の遠位部での死滅であり、ATPの形でのエネルギー供給の障害がこの神経変性プロセスに寄与している可能性があります。Aghanoori MRら (2021) は、糖尿病患者の後根神経節 (DRG) 感覚ニューロンにおいて、解糖系およびミトコンドリアの酸化的リン酸化によるエネルギー供給が損なわれ、軸索変性に寄与していると考え、この仮説を検証する研究の中で、XFを用いたDRGニューロンの解糖系とミトコンドリア呼吸の機能解析を行いました。



Figure:糖尿病ラットの感覚ニューロンでは解糖能と予備能に欠陥があり、IGF-1処理で回復した。
成体のコントロールおよび糖尿病ラットに由来するDRGニューロンを10mMまたは25mMのグルコースの存在下で一晩培養し、SeahorseXF24アナライザーを使用して解糖解析試験を行った。実験の1時間前に培地を非グルコース培地と交換した。グルコース(10 mM)、オリゴマイシン(1μM)および2-デオキシ-グルコース(2DG:グルコース類似体)(50 mM)を順次注入して、細胞外酸性化率(ECAR)を決定した。

Reference: Sensory neurons derived from diabetic rats exhibit deficits in functional glycolysis and ATP that are ameliorated by IGF-1
Mohamad-Reza Aghanoori, Vicky Margulets, Darrell R.Smith, Lorrie A.Kirshenbaum, Daniel Gitler, Paul Fernyhough
Molecular Metabolism, Volume 49, July 2021, 101191. ()

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脂肪組織マクロファージのミトコンドリア標的低分子薬剤のミトコンドリア呼吸に対する影響

脂肪組織マクロファージ (ATM) の炎症性の活性化は、肥満や肥満関連疾患と因果関係があります。マクロファージの活性化には、ミトコンドリア代謝が重要な役割を果たしていることが多くの研究で明らかにされています。しかし、肥満関連疾患の治療のためにATMのミトコンドリア代謝を標的とする医薬品は不足しています。Wangら (2021) は、ATMのミトコンドリアに優先的に蓄積する近赤外蛍光体 (IR-61) の食事誘発性肥満、肥満に伴うインスリン抵抗性や脂肪肝への治療効果を明らかにした研究の中で、XFを用いてIR-61のミトコンドリア呼吸に対する影響を調べました。


Figure 1: IR-61またはvehicleコントロールで24時間処理した骨髄由来マクロファージの酸素消費速度(OCR)とミトコンドリア機能。IR-61処理は、マクロファージの基礎および最大呼吸を有意に増加させた。

更に、IR-61がROS-Akt-Acly経路を介してミトコンドリア複合体の含有量と活性を高め、M1マクロファージの活性化を抑制することを明らかにする実験の中で、AclyノックダウンマクロファージのOCRを測定しました。


Figure 2: siCtrlまたはsiAclyで48時間処理した後、IR-61またはvehicleコントロールでさらに24時間処理した骨髄由来マクロファージのOCRおよびミトコンドリア機能。Aclyのノックダウンによって IR-61刺激によるOCRが減少した。

Reference: Improvement of obesity-associated disorders by a small-molecule drug targeting mitochondria of adipose tissue macrophages
Yawei Wang, Binlin Tang, Lei Long, Peng Luo, Wei Xiang, Xueru Li,1 Huilan Wang, Qingzhi Jiang, Xu Tan, Shenglin Luo, Huijuan Li, Ziwen Wang, Zelin Chen, Yu Leng, Zhongyong Jiang, Yang Wang, Le Ma, Rui Wang, Chunyu Zeng, Zujuan Liu, Yu Wang, Hongming Miao, and Chunmeng Shi
Nat Commun. 2021; 12: 102. Published online 2021 Jan 4. doi: 10.1038/s41467-020-20315-9 ()

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ベージュ脂肪細胞におけるミトコンドリア呼吸の計測

ベージュ脂肪の熱産生は、温度などの環境合図を感知するエピジェネティックな調節因子によって厳密に制御されていることが示唆されています。Villivalam ら (2020) は、DNA脱メチル化酵素TET1がベージュ脂肪細胞の選択的な熱産生抑制因子であることを証明した研究の中で、TET1ノックダウンが細胞のミトコンドリア呼吸に及ぼす影響についてXFを用いて解析しました。


Figure: Tet1の機能喪失はベージュ脂肪細胞の熱産生を増加させる shRNAsによるTet1ノックダウンベージュ脂肪細胞とコントロールのベージュ脂肪細 (scrambled shRNAを導入) において、基礎ミトコンドリア呼吸およびノルエピネフリン (NE) 刺激によるミトコンドリア呼吸を計測した (各群n=3。データは平均値±SEMで表した。*は p<0.05、スチューデントのt検定の両側検定 (two-tailed Student’s t test)、一元配置分散分析 (one-way ANOVA) で決定))。(Oligo; オリゴマイシン、AA; アンチマイシンA)。 ベージュ脂肪細胞におけるTet1ノックダウンは、ノルエピネフリンの存在下および非存在下でのミトコンドリア呼吸速度を増加させたことを示す。

Reference: TET1 is a beige adipocyte-selective epigenetic suppressor of thermogenesis
Sneha Damal Villivalam, Dongjoo You, Jinse Kim, Hee Woong Lim, Han Xiao, Pete-James H. Zushin, Yasuo Oguri, Pouya Amin & Sona Kang
Nature Communications volume 11, Article number: 4313 (2020) ()

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糖尿病性心筋症モデルにおけるミトコンドリアの機能障害の計測

⼀般的に、心臓の細胞は代謝的に柔軟性があり、エネルギー産⽣のために脂肪酸と炭水化物の両⽅を酸化します。しかし、2型糖尿病 (T2DM) においては⼼臓がもっぱら脂肪酸を利⽤することによってこの柔軟性が失われ、糖尿病性心筋症を促進します。


Figure: Mitochondrial pyruvate carrier 2 (MPC2)のダブル・アセチル化を模倣したK19Q/K26Q(QQ)が、ピルビン酸塩に依存する細胞のミトコンドリア呼吸を減少させた (Vadvalkar et al. 2017)。

Agilent Technologies社 Application Note “Gaining Insights into Disease Biology for Target Identification and Validation using Seahorse XF Technology” より引用。

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Webinarオンデマンド:加齢・肥満・糖尿病における細胞代謝エネルギー研究



[Webinarオンデマンド配信 ] ライブ実施日時:2021/7/15

Agilent Seahorse XFテクノロジーは細胞の代謝変化をリアルタイムに測定することで、従来のエンドポイントアッセイでは捉えられなかった様々な代謝変化を定量的に分析・理解することが可能です。糖尿病をはじめとした代謝性疾患の研究領域においても、XFテクノロジーのパワフルな測定技術によって数多くの新たな知見が見出され続けています。

本セミナーでは、様々なケーススタディを交えながらAgilent Seahorse XFテクノロジーの特徴と、老化関連疾患研究、とくに代謝性疾患研究における応用例をご紹介します。

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