蛍光プレートリーダーベースの生細胞酸素消費アッセイ
ミトコンドリア機能は、細胞の代謝、生存とエネルギー産生にとって重要です。ミトコンドリア呼吸機能の欠損は、がん、虚血性の再灌流障害や神経変性疾患等の病態と関連しています。また、ミトコンドリア毒性は、安全性リスクによる治療薬取り下げの一般的な原因です。
MitoXpress Xtra 酸素消費アッセイは、細胞または単離ミトコンドリアの酸素消費のハイスループットなカイネティック計測を可能にします。
本キットは、代謝解析のためのミトコンドリア呼吸評価や、薬の毒性作用を評価するための信頼性の高い方法です。
※MitoXpress Xtraは、2018年1月にAgilent社が買収した、旧 Luxcel社(アイルランド)の製品です。
特長
- 蛍光プレートリーダーベースの酸素消費計測
- 標準的な96ウェル、384ウェルフォーマットに適合
- ミトコンドリア機能と細胞代謝を直接計測するための容易な ”Mix-and-Measure” プロトコル
- 他のアッセイキット (例:pH-Xtra 解糖アッセイキット、ROS / MMP / ATPアッセイ等) の適用範囲で
マルチパラメータ解析が可能 - 様々なサンプルに適合:
- 接着細胞・浮遊細胞
- 透過処理した細胞
- 単離ミトコンドリア・酵素
- 3D 培養
- 細菌・酵母・カビ
 Figure 1:(A) MitoXpress Xtraを使用して計測した、ヒトiPSC由来心筋細胞Cor.4U (NCardia) の酸素消費。細胞が呼吸するにつれて溶存酸素が減少し、このことにより、MitoXpress Xtraシグナルを増加させる。従って、Antimycin A (ミトコンドリア呼吸の阻害剤) による処理は酸素消費を阻害するため、センサーシグナル変化速度を減少させる。FCCP (脱共役剤) による処理は酸素消費を増加させ、これによりセンサーシグナル変化速度を増加させる。 (B) これらの代謝の作用は、MitoXpress Xtraシグナル変化速度を解析することによって評価することができる。より遅い変化速度は好気性の代謝活性の減少を示す。 |
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原理
化学的に安定・不活性・細胞不透過性の、バイオポリマー・ベースの蛍光プローブです。
O2分子によって消光されるため、蛍光シグナル量はサンプル中の細胞外の酸素量と反比例します。
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アプリケーション
- 呼吸とミトコンドリア機能の評価
- 薬剤のミトコンドリア毒性評価
- 遺伝子改変の評価
等 |
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マルチプレックス解析 |
MitoXpress Xtraを、ミトコンドリア膜電位(MMP)・活性酸素種(ROS)・細胞ATP含有量等の他のプレートリーダー適合性の指標の計測と組み合わせることによって、細胞応答に対する更なる洞察を得ることができます。このことにより、細胞機能における処理の影響または状態の変化を、より良く特徴づけることが可能になります。
 Figure 2:(A)Antimycin A と (B)Tamoxifenで24時間処理したHepG2細胞における、MitoXpress XtraとCalcein AMを用いたマルチプレックス計測。双方の薬剤は、ミトコンドリア呼吸(水色)を減少させる。Antimycin A 処理が細胞生存率(濃青色)に対していかなる有意な減少も示さない一方、Tamoxifenは生存率に有意な影響を示した。このことは、Antimycin A の呼吸への影響がより直接的なミトコンドリアのメカニズムに起因することを示唆する。 |
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 Figure 3:MitoXpress XtraとJC-1の同一ウェルでのマルチプレックス計測。HepG2細胞は、Antimycin AまたはFCCPで処理された。いずれの化合物もMMPの減少を生じた(A)。FCCPは酸素消費の特徴的な増加を生じた一方で、Antimycin Aは呼吸を阻害した(B)。 |
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3D培養の代謝計測 |
細胞代謝のプレートリーダーベースの計測は、浮遊培養と特異的な三次元培養システム(例:RAFT™、Mimetix®、Alvetex®)でも行うことができます。細胞の3D培養は、複雑な細胞内相互作用の開発を容易にし、in vitro と in vivo の間の生物学的システムのギャップを埋めることに役立ちます。
 Figure 4:(A) MitoXpress Xtraを用いて、A549 3D RAFT培養の酸素消費に対する薬物処理の相対的な影響を計測した。(B) pH-Xtraを用いて、HepG2 RAFT培養の細胞外酸性化速度に対する薬物処理の相対的な影響を計測した。 |
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MitoXpress XtraとpH-Xtraを組み合わせた計測 |
MitoXpress XtraとpH-Xtraの組み合わせは、細胞代謝の平衡の評価を、以降の代謝の調査のためのベースラインとして利用することを可能にします。 Figure 5 は、これらを組み合わせたアッセイが、様々な細胞種の酸素消費と解糖のバランスを調査するのに用いられた例を示します。また、多様な基質濃度が代謝のバランスをどのように調節するかを示しています。
 Figure 5:(A) MitoXpress XtraとpH-Xtraを用いた、がん細胞株の解糖とミトコンドリア呼吸を組み合わせた解析。 (B) U87MG細胞の代謝に対するグルコース濃度の影響。グルコース濃度の増加は、呼吸の減少と解糖の増加を導いた。 (Data courtesy of Dr. Karl Morten, Oxford University, UK) |
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仕様
MitoXpress Xtra 酸素消費アッセイキット (型式:MX-200-4)
構成品 | 入数 | 説明 | 保存条件 | MitoXpress Xtra Reagent | 4バイアル | 酸素検出プローブ | 4℃* | MitoXpress HS ミネラルオイル (15mL) | 4本 | 酸素の拡散防止のためのサンプルシーリング用。 滴下ボトル入り。 | 室温 | * 室温で輸送 |
※1バイアルにつき96ウェルプレート1枚分。384ウェルプレートでは1バイアルが~200ウェル分です。
※使用期限:製造より2年間
※計測には以下の機器・器具・試薬が別途必要です。
- 温度調節機能付き時間分解蛍光測定 (TRF)プレートリーダー
(励起:380nm / 蛍光:650nm)
推奨のプレートリーダー・計測設定 - 96ウェル / 384ウェル clear well プレート または black wall clear bottom プレート
- プレートブロックヒーター
- コントロール溶液 (グルコースオキシダーゼ、アンチマイシンA 等)
MitoXpress Xtra 酸素消費アッセイキット 消耗品 (別売)
製品名 | 型式 | 入数 | 保存条件 |
MitoXpress HS ミネラルオイル (15mL) | HS-100D-1 | 1本 | 室温 |
MitoXpressミネラルオイル (60mL) | MO-200L-1 | 1本 | 室温 |
※外観及び規格は予告なく変更することがございますので予めご了承ください。
※本ページに記載の製品は、すべて研究・実験用です。
人・動物の診断あるいは治療等の臨床用途に使用することはできません。
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