16S rRNA遺伝子全長のアンプリコンフリーなターゲットシーケンス
16S rRNA遺伝子配列は、細菌群集の構成の同定やプロファイリングに頻繁に使用されています。微生物の分類や系統解析のために16Sを研究することの有用性は、40年以上前にCarl Woeseによって実証され、その影響力は時代とともに増すばかりです。微生物群集を明らかにし理解することは、人の健康、環境調査、動物福祉、農業改良などに幅広く重要です。
当社のmyBaits 16S-Hybパネルは、1つまたは2つの超可変領域ではなく、遺伝子全体を濃縮するため、16Sアンプリコンシーケンスよりも分類学的解像度が高く、偏りが少なくなります。また、このパネルは、メタゲノム研究と連携して、新規表現型に寄与している可能性のある希少な分類群を効率的に同定することができます。16S-Hyb rRNA遺伝子濃縮と低カバレッジショットガンシーケンスを組み合わせることで、ショットガンシーケンス単独よりもコスト効率よく、また16Sアンプリコンシーケンスよりも正確にメタゲノムサンプル中の微生物集団の特性解析を行うことができます。
マウス糞便、ラット結腸から得られたサンプルおよびモックコミュニティサンプルについて、myBaits 16S-Hybパネルと16Sアンプリコンおよびショットガンメタゲノムのシーケンシングで得られたデータを比較しました。濃縮されていないメタゲノム配列で得られた16Sのリードは0.1~0.2%でした。濃縮により、モックサンプルでは350倍、マウスの糞便とラットの結腸サンプルでは450倍濃縮され、リードのオンターゲット率は60~70%でした。全体として、MiSeqまたはHiSeqシーケンサーを用いた濃縮サンプルのプロファイルは、すべての実験においてアンプリコンデータと比較して、モックおよびショットガンプロファイルによりよく類似していました。
- BEI Resourcesのモックコミュニティ解析

図1. BEI Resourcesのモックコミュニティサンプルには、既知の内容の細菌集団が含まれています(図1、左から5列目)。MiSeq PE 300で16Sアンプリコンシーケンシングを(同1列目)、myBaits 16S-Hybで濃縮しMiSeq PE 300でシーケンシングを(同2列目)、またHiSeq PE 150で(同3列目)シーケンシングを、またHiSeq PE150を用いてショットガンシーケンシングを(同4列目)行いました。濃縮したあるいは非濃縮のリードをトリミングおよびフィルタリングし、bbmapを用いてGreenGenesデータベースに対してマッピングし、解析しました。アンプリコンリードはDada2パイプラインとGreenGenesデータベースを用いて評価しました。
- 16S-Hybによる濃縮と16Sアンプリコンおよびショットガンシーケンスとの比較

図2. マウスの糞便と結腸から抽出したDNAを、MiSeq PE 300を用いて16Sアンプリコンシーケンシングを(図2、左から1および5列目)、myBaits 16Sで濃縮し、MiSeq PE 300(同2および6列目)あるいはHiSeq PE 150(同2および7列目)でシーケンシングを、またHiSeq PE150でショットガンシーケンシングを行いました(同4および8列目)。濃縮したあるいは非濃縮のリードをトリミングおよびフィルタリングし、bbmapを用いてGreenGenesデータベースに対してマッピングし、解析しました。アンプリコンリードはDada2パイプラインとGreenGenesデータベースを用いて評価しました。