高いカバレッジと均一性でシングルセルの全ゲノム増幅が可能な、特許取得済みの技術であるPrimary Template-directed Amplification(PTA)法を用いたキットです。
シングルセルあるいは微量DNAの正確なバリアント解析、シングルセル解像度でのCRISPR/Cas9によるオンターゲットおよびオフターゲット遺伝子編集の定量的・ゲノムワイドな評価、希少あるいは培養不可な微生物のゲノムアセンブリや特徴付けなど、幅広いシングルセルゲノムアプリケーションにご利用いただけます。
全ゲノム増幅用(ResolveDNA)と全ゲノム・トランスクリプトーム同時増幅用(ResolveOME)がございます。
Primary Template-directed Amplification(PTA)法は、高正確性のPhi29 DNAポリメラーゼとランダムプライマーを用いることで、サンプル中のDNAを増幅します。増幅中、ポリメラーゼは独自の核酸塩基(Termination Base)を取り込むことで、アンプリコンの伸長が停止し、この過程により増幅産物は切り詰められます。これらの短いアンプリコンはポリメラーゼで効率的に増幅されないため、娘アンプリコンの再増幅が制限されます。結果として、元の(あるいは一次)テンプレートが優先的に増幅され、ゲノムカバレッジを増加させ、娘アンプリコンから引き継がれる塩基取り込みエラーを減少させることができます。PTA法は、他の全ゲノム増幅法と比較して、
高いカバレッジと
均一性でシングルセルのゲノム増幅を可能にします
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PNAS 2021, Vol1. 118, No. 24 e2024176118図. Primary Template-directed Amplification(PTA)の模式図PTA法は、単一細胞、複数細胞あるいは核(FACS, FANS, マイクロ流路での細胞分離、あるいは他の方法で採取)、またはごく微量のインプットDNA(4 pg~10 ng)で実施できます。細胞溶解とゲノムDNAの解離後、ランダムプライマーをアニーリングさせます。キットに含まれるDNAポリメラーゼによる伸長反応と独自の塩基プールによって、250 bp~3.5 kb長のアンプリコンが形成されます。アンプリコンのサイズが比較的小さいため、その後の増幅の標的になりにくく、一次テンプレートの増幅が優先され、娘分子におけるバイアスや塩基エラーの指数関数的伝播を制限します。さらに、ResolveDNA全ゲノム増幅キットはキメラ分子や非特異的プライミングなどの実験的アーティファクトの形成を抑制します。PTA反応による生産物は二本鎖となり、キットに付属するあるいは他のNGSライブラリ調製キットを用いてIllumina
®や他のシーケンスプラットフォームでのマルチプレックスシーケンスのためのシーケンスライブラリに変換できます。
PTA法紹介動画(2:38)