前臨床投与試験におけるシリンジポンプ理解ガイド前臨床投与試験において正確かつ一貫した投与量を実現するには、単に高性能なシリンジポンプを選ぶだけでは不十分です。実験小動物への静脈内投与を制御する最も精密な装置として、シリンジポンプはよく紹介されています。しかし、その真の精度は、シリンジ本体、装置のセットアップ、操作インターフェース、そしてそれを扱う人間を含むシステム全体に依存しているのです。
このシリーズでは、Instech Laboratories社が前臨床投与試験で培ってきた数十年の経験に、実際の研究現場での事例を組み合わせ、シリンジポンプの性能をあらゆる角度から探ります。各記事では「精度±0.5%」の意味から、ユーザーインターフェースや滑らかな注入動作が再現性や動物福祉に与える影響まで、精度を左右する重要な要素について解説します。
新しい投与プロトコルの検証、不安定な結果のトラブルシューティング、新しい注入装置を評価する際など、このシリースでエラーの発生要因を理解し、それを最新のシリンジポンプ設計がどのように解決するのかを理解しましょう。
- 第一回:前臨床投与試験におけるシリンジポンプの精度
シリンジポンプは、実験動物に静脈内投与を行うための最も正確な装置であると広く考えられています。研究者は通常、投与量を可能な限り正確かつ一定に保つために、体重に基づいて流量を調整します。しかし、実際のシリンジポンプは果たしてどれほどの精度を持っているのでしょうか? - 第二回:人間とポンプのあいだのインターフェース
第一回の投稿では、シリンジポンプで投与を行う際に発生し得る40を超える潜在的なエラー要因 を特定しました。これらすべてを、私たちはModel 400シリンジポンプを設計する際に考慮しました。ニ回目の投稿では、ポンプとオペレーターとのインターフェースに焦点を当てます。 - 第三回:低流量におけるシリンジポンプの性能
マウスへの持続注入やマイクロダイアリシス、げっ歯類の髄腔内投与における典型的な流量は0.1〜20μL/分です。理論上、シリンジポンプは低流量を正確に制御できる最適なポンプの一つとされています。三回目の投稿では、様々なシリンジポンプの低流量性能の実際について考察します。 - 第四回:ルート閉塞時におけるシリンジポンプの性能
どんなに完璧な手術技術とメンテナンスを駆使しても、投与試験においてルートの閉塞は避けられない現象です。閉塞に対してシリンジポンプがどう応答するかが、データの成否を左右します。四回目の投稿では、様々なシリンジポンプがどのように閉塞を検知してコントロールするかを検証します。研究結果によると、ポンプの応答時間と安全性は、ポンプの機構と技術の両方によって大きく異なることが示されています。
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■Model 400 Syringe Pump 仕様
| 型番 |
P400 |
| 流量精度※1 |
±0.5% |
| シリンジ数 |
1 |
| 最大シリンジサイズ |
50/60 mL |
| 最小シリンジサイズ |
1 μL |
| 最大流量(50/60 mLシリンジ) |
120 mL/min |
| 最小流量(1 μLシリンジ) |
0.001 μL/h |
| 最小流量(1 mLシリンジ) |
1 μL/h |
| 最小流量時のステップ間隔 |
1.2 sec/step |
| ステップ分解能 |
0.02 μm |
| プランジャー最小移動速度 |
1 μm/min |
| プランジャー最大移動速度 |
216 mm/min |
| 対応シリンジ |
B-D plastic, B-D glass, HSW Normject, Hamilton, カスタム(ユーザー定義) |
| 圧力モニター |
0-20 PSI (1mL以上のシリンジ使用時※2) |
| 閉塞アラーム設定 |
10, 15, 20 PSI, off |
| 最大押出力 |
18 lbs |
| 寸法 |
31 x 13 x 6.5 cm |
| 重量 |
1.7 kg |
| ディスプレイ |
4.3in 800 x 480 カラータッチスクリーン |
| 設置方向 |
垂直もしくは水平 |
| 電源 |
DC12V 2A |
| 電源喪失時の保護機能 |
復電時に自動再開 |
| バッテリー駆動 |
USB PD3.0接続の外部バッテリーに対応
(容量10,000 mAhのパックで最大8時間動作) |
| データ転送用コネクタ |
USB-C |
| ファームウェア更新用コネクタ |
USB-A |
| 無線通信規格 |
IEEE 802.15.4 |
| 取り付け用ブラケット |
各種 |
※1 プランジャーの全移動範囲における線形精度。シリンジ自体のばらつきは含まず。
※2 測定値は近似値であり、シリンジ摩擦の影響を含む。
※ご注意:本ページに掲載の製品は、すべて研究・実験用です。
人・動物の診断あるいは治療等の臨床用途に使用することはできません。